語学のためのカリグラフィー アラビア語編
数年前にアラビア語を学び始めた時に、単語や例文をアラビア語で書いてみたくて、色々とペンを探しました。
アラビア語は右から左に書いていく言語なのですが、元々左利きの人が作った文字なのか、私も含めて、右利きの人はペン先が水平カットの欧文用カリグラフィーペンだと、どうも書きづらいのです。
アラビア書道で用いられているペンは葦や竹を使い、ペン先は左下がりの斜め方向にカットしてあります。
以前から似たようなペンを探したり、自作したりと、色々やってきたのですが、最近ようやく日本でも左利き用のカリグラフィーペンが入手できるようになってきました。
この記事では、アラビア語を書くために自分で試してみた方法や発見したことなどを、古い順にご紹介していきます。
アラビア語のカリグラフィーで使った道具
葦ペンの代用で竹ペン ☆☆
本格的に書くなら、葦ペンを用いたほうが良いらしいのですが、日本の葦は柔らかすぎてアラビア書道に向かないため、竹で代用することが多いようです。
関東ではサイクリングで広い河原を走っていると、葦の茂みがいくつも見つかるのですが、そこで良さげなものはないかと探してみたこともあります。でも、どれも柔らかすぎて、カリグラフィー用のペンには向いていないようでした。
そこで、自分で竹を削ってペンを作ってみたのですが、インクがすぐに途切れて、何度もインクを付け直さなくてはならないので面倒です。ネット情報で「アルミのドリンク缶を細長く切り、竹ペンの内側に入れてインク溜めを作る」という裏ワザを知り、試してみたのですが、それでもあまり長くは書けません。
元々、テキストを広げて勉強している合間に、ちょこちょこっと書くという使い方をしたかったのですが、あまり道具が大げさだと、語学の方に集中できなくなってしまいそうです。なので、今では竹ペンはほとんど使っていません。
左利き用マーカー ☆☆☆
Manuscript Calli Creative Markers, Left Hand
ネットで調べたら、呉竹がアラビア語用にカリグラフィー用のマーカーでペン先を斜めにカットしたものを作っているということがわかったのですが、海外用で、日本では売っていないらしいです。_| ̄|○
しかし最近、マニュスクリプトというメーカーがイタリック用マーカーペンを出していることを知り、こちらも先端が斜めになっているのでアラビア語やその他、左利きの方が書きやすい文字にも良いかなと思って買ってみました。インクもスムーズに出るし、裏表両方書けるので、様々な言語に対応できそうです。イタリック用となっていますが、ペン軸を見ると、アラビア語が印刷されています。アラビア語圏でもよく使用されているのでしょうか。
LAMYのカリグラフィー用万年筆を改造 ☆☆
LAMYの万年筆が好きなので、カリグラフィー用のjoyも持っているのですが、こちらはペン先が水平にカットされた、通常のカリグラフィー用です。
しかし、竹ペンを自作して勢いがついてしまったのか、自分でニブの先端をニッパーで切り、切り口を砥石で研いでみることにしました。
結果としては、使えないこともないのですが、太い線を書こうとニブを短くしすぎると、裏側のプラスチックのパーツが筆記中に紙に当たるようになってしまい、また、当然のことながら、よほど上手く研がないと、書き味が悪くなってしまいます。なのであまりおすすめの方法ではありません。
スピードボールのカリグラフィーペン ☆☆☆
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スピードボールは通常の英文のカリグラフィーでも書きやすいので、きちんと書きたい時にはよく使っています。
通常のものは水平カット(C2, 写真右)ですが、左利き用のものがあり、やや左下がりの斜めカットになっています(C2L, 写真左)。
ほんの僅かな違いですが、アラビア語が少し書きやすくなりました。
ただし「つけペン」なので、インクを付けながら書き、使用後は毎回洗うなど、万年筆タイプよりも多少手間がかかります。
マニュスクリプトのカリグラフィー用万年筆 左利き用 ☆☆☆☆☆
Manuscript スクライブ カリグラフィーペン(右利き用)
右利き用の方がアラビア語を書くのに向いているのは、左利き用の左下がりの斜めカットです(写真左)。左利きの方は、逆に右利き用の水平カット(写真右)の方が書きやすいかもしれません。
実はアラビア語の学習が一段落した後、他の言語の学習用に買ったものですが、アラビア語も書きやすかったです。
アラビア語が載っているカリグラフィーの本
様々な国の言語のカリグラフィーを紹介した本ですが、アラビア語の書き方も詳しく載っています。
竹ペンを自分で削る方法や、英語のアルファベットをアラビア書体風に書く方法なんかも載っていて、楽しいです。
カリグラフィーの本や道具の詳細については「語学のためのカリグラフィー 本と道具編」をご覧ください。