ラジオ講座の録音を聴きやすく(2019/03/26修正)
春先や秋口には、NHKラジオの新規語学講座が始まりますが、 録音して聴いていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
以前、パソコンでネットラジオを受信&録音できるソフトを試したことがあったのですが、音声はクリアーなものの、時々音声が数秒欠落してしまっていることがありました。イージーリスニングには良いかもしれませんが、語学講座だと、スキットや解説が聴こえないというのは困るので、アナログ受信&デジタル録音に戻ってしまいました。
AMラジオ録音の音声ファイルを聴きやすくするには
ラジオ放送のノイズを低減したり、AM放送の平坦な聞こえ方を補正する方法です。
フリーソフトのAudacityで編集
フリーなのに細かな設定ができる音声編集ソフトです。
私はラジオ講座の音声ファイル(アナログ受信&デジタル録音)を聴きやすく加工するためによく使用しています。
公式サイトは英語ですが、「audacity 使い方」などで検索すれば、日本語で説明したサイトがよくヒットします。
著作権の関係で、書き出しのためのプラグインを別途インストールしなければならないのですが、公式サイトのダウンロードページにリンクがあるので、必要に応じてインストールしてください。
MP3書き出しをするにはLAME、WMAやAIFFなどの非圧縮フォーマットの書き出しにはFFmpegをインストールしますが、通常はこの2つがあれば大丈夫です。
編集や設定の手順
(バージョンアップでメニューの日本語訳が変わってしまいましたので、以前の記事を修正しつつ、もう少し詳しいものに書き直しました。スクリーンショットはMacのものです)。
1. ファイルを開く
2. ステレオからモノラルに変換
AM放送はモノラルなので、レコーダーでステレオ録音されている場合、1つのトラックに統合した方がファイル容量に無駄が出ません。
メニュー > トラック > ミックス > ステレオからモノラルへ
(私は環境設定で、ショートカット「Opt + Command + M」を割り当てています。)
変換が終わったら、曲全体がウィンドウの中に収まるように表示を整えます。
(メニューの「表示」からも選択できますが、ショートカットだと、左右は「Command + F」、上下は「Command + Shift + F」です。)
3. ノーマライズ
ラジオ録音の音量が小さすぎたり大きすぎたりする場合に、標準的なレベルに修正します。
メニュー > エフェクト > ノーマライズ
(私は環境設定で、ショートカット「Opt + Command + N」を割り当てています。)
数値はデフォルトのままでも問題ないですが、環境に応じて調整してください。
4. イコライザーで聴きやすく
AM録音の音質が平坦で、もう少し会話や歌に臨場感がほしいという場合、以下の手順を追加します。
メニュー > エフェクト > イコライザー
(私は環境設定で、ショートカット「Opt + Command + E」を割り当てています。)
表示されるダイアログボックスで、音域に応じた調整を加えます。
上図は(私の環境でですが)、AM録音の語学講座の会話や挿入された歌が聴きやすいようにセッティングしたものです。
AM放送は低音と高音が減衰するため、CDやネットラジオの音声と比べると音質が平坦です。
ちなみに、Audacityのイコライザーには、通常の音声をAMラジオ風に加工する「AM Radio」という曲線がありますが、低音は40-60Hz、高音は4000Hzあたりで急激に減衰しています(下図参照)。
Wikipediaによると「人間の会話のほとんどは 200-8,000 Hz の間で行われるそうです。
なので、AM録音の低音を上げるのは、会話よりも「音楽の聴きやすさ」を上げるための調整になるようです。
高音については、この音域が低いと子音が聞こえにくいという情報もあります。
ネット検索で見つけたのですが、ある論文によると、s を f と区別するための高周波数音は 4 kHz~14 kHz の間に集中していて、この部分の周波数が欠落すると相手が何を言ったのか理解する手がかりがなくなるとのことでした。
この理論通りなら4000Hzあたりから上昇させた方が良いのですが、実際に聞くとややしつこい感じになったので、少しずつ調整していき6000Hzあたりに落ち着きました。これは録音環境や個人の感じ方にもよりますので、実際に聞きながら調整してみてください。
5. ノイズを低減
録音にノイズが多い場合、以下の手順を追加します。
放送が始まる前などの無音部分を選択します(後の処理で必要な「ノイズレベル」をサンプリングするため)。
メニュー > エフェクト > ノイズの低減
「ノイズプロファイルの取得」をクリック。
「Command + A」で音声全体を選択した後、再度、
メニュー > エフェクト > ノイズの低減
「OK」をクリックします。
ファイル音声全体に「ノイズの低減」が適用されました。
デフォルトの数値でノイズが減らないようなら一度取り消し、再度数値を増やしてやり直します。
(上図、3番目の「高周波平滑化」はデフォルトで3ですが、1つ移動して4にし、「ノイズ低減」、「感度」も同じ位置に揃えて、という風に繰り返してみてください。)
6. トラックの前後に無音を追加
再生した時に最初の部分が途切れやすい、曲の前後に余裕が欲しいという場合には、以下の手順を追加します。
放送時間の録音の前後に余裕を持って1分追加している場合、全体を表示し(Command + F)、1分経過のところをクリック、拡大表示します(Command + 1 を複数回)。
放送開始より前の部分を選択し(Shit + J)、削除します。
全体表示にします(Command + F)。
メニュー > ジェネレーター > 無音
(私は環境設定で、ショートカット「Opt + Command + S」を割り当てています。)
好みの秒数(1〜2秒)、無音を追加します。
再度、全体表示にし(Command + F)、録音終了から−1分付近をクリックして拡大、放送終了部分から残りを選択し(Shift + K)、無音を追加します。
7. 書き出し
メニュー > ファイル > 書き出し > WAVとして書き出し
「ファイルの種類」のプルダウンメニューから、Mac標準のAIFFなど他のファイル形式を選ぶこともできます。
後々の加工を考えて、最初の書き出しは非圧縮にしておきましょう。
MP3ファイルが必要な場合、加工を済ませた非圧縮ファイルから何度でも書き出すことができます。