語学のためのカリグラフィー 古典ギリシア語編
古典ギリシア語は、数年前に一度取り組んだものの、その時は途中で投げ出してしまいました。でも最近また再開し、少しずつ学んでいます。
古典ギリシア語には大文字しかなく、小文字は中世にキリスト教の写本が作られるようになってから生まれたそうです。
でも、テキストの文章も小文字だし、小文字があったほうが読みやすいし、かっこいい。それに何より、書いていると気分が上がります(これ、かなり重要 (^^)。
ギリシア語が載っているカリグラフィーの本
The World Encyclopedia of Calligraphy
ギリシア語のカリグラフィーの本を色々探してみたのですが、あまりなく、世界のカリグラフィーを紹介したこちらの本で、数ページ紹介されているのをようやく見つけました。
ギリシア語のページは、Georgia Angelopoulosというカリグラファーの方が担当しているのですが、現代のギリシア語には決まったカリグラフィー書体がないため、8〜16世紀の手書きのサンプルをたくさん集め、それらを参考にしながら自分で書体を作り上げたそうです。
一般的な英語のカリグラフィー書体の基準に合わせて書くと、英国風ギリシア書体みたいになってしまうらしく、そのため古い資料が必要だったようです。
例えば、ギリシア語の「ρ」は英語の「p」と似ているけど、ギリシア語は1筆書きで、英語は丸と縦線の組み合わせです。
また、英語はアセンダー(上に張り出している部分。例えば、d を o と比べて高くなっている部分)やディセンダー(下に張り出している部分。例えば、p を o と比べて低くなっている部分)の高さは、どの文字でもある程度一定だけど、ギリシア語は文字によって違います。
その他に、古い手書きのギリシア書体では、ベースライン(小文字の o など、張り出しのない文字の下に引く罫線)よりも、ウエストライン(小文字の o など、張り出しのない文字の上に引く罫線)を基準にしてあるので、ウエストラインからぶら下がったような書き方のものが多いとか。
確かに、英語などのラテン語を起源とする文字は、バランスが良いのですが、それと比べるとギリシア語の文字は1つ1つの文字の形がとても個性的。日本語の行書や草書にちょっと近い感じがします。
一見アンバランスそうな文字が組み合わさっているのに、言葉や文章にした時に、心地よいリズムと調和が生まれるようです。
写本で用いられている書体にはリガチャー(合字)も多く、それはそれで美しいのですが、初学者が学ぶには規則が多すぎて大変らしいです。
この本で紹介されている書体は、リガチャーを使わなくても美しく書けるように工夫し、初学者にも学びやすくしたものだそうです。
ギリシア語の章の最後のページにある見本の作品は、この書体を用いて書かれており、可能な場合は文字と文字を繋げて書いて、筆記体のようになっています。合字ではないけれど、文章としてのまとまりを出すには良い書き方だな、と思いました。
ギリシア語のカリグラフィーで使った道具
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カリグラフィーの本や道具の詳細については「語学のためのカリグラフィー 本と道具編」をご覧ください。